古代天皇の漢風諡号〜神の名を持つ三人の天皇〜

漢風諡号とは

歴代天皇にはそれぞれ名前がありますが最もポピュラーな名前は漢字二文字で記される「漢風諡号」です。漢字で記されるから漢風。諡号とは諡(おくりな)のことです。諡は天皇が崩御(天皇がお隠れになること)した後におくられます。明治天皇や昭和天皇という呼称も崩御された後におくられたものです。生前は今上天皇陛下といわれます。最近は平気で平成天皇などという呼び方をする人もいますが大変に失礼なことです。

古代天皇の漢風諡号

漢風諡号は皇室の歴史が始まった当初からあったわけではありません。古代天皇の漢風諡号は淡海三船という奈良時代の人物によって選定されたと考えられています。淡海三船は第39代弘文天皇(天智天皇の子、大友皇子)のひ孫です。淡海三船が漢風諡号の選定にあたってどのような史料を用いたかわかりませんが歴代の天皇の生前の業績等をもとに選定作業をすすめたのだと考えられます。

神の名を持つ天皇

淡海三船によって漢風諡号が選定された歴代天皇の中で「神」という漢字が含まれた諡号を持つ天皇が三人います。初代神武天皇、第10代崇神天皇、第15代応神天皇です。ちなみに歴代の天皇には含まれていませんが応神天皇の母である神功皇后も淡海三船によって漢風諡号が選定されています。淡海三船は皇室の歴史の中で以上の四人の漢風諡号だけに「神」という漢字を入れました。

当然、ここでいう「神」はキリスト教で言うところの「ゴッド」とは違います。一神教的な「神」ではなく、多神教的な「神」です。つまりたくさんいる神様の一人というイメージです。そのため、「神」という漢風諡号の天皇が複数いても違和感はありませんが、なぜ上記の四人だけに「神」という漢字を用いたのかという謎は残ります。それぞれが別の王朝の祖だったとか、神武天皇・崇神天皇・応神天皇の三人は同一人物だったとかいろいろな説があります。

将来、この謎が解ける日が来ることを願っています。