労働基準法第39条~年次有給休暇について②~

年次有給休暇は何日もらえるのか?

前回「年次有給休暇について①」では、年次有給休暇の発生要件についてご紹介しました。

年次有給休暇は入社から6ヶ月間の「継続勤務+出勤率」の要件の満たすことで10日間分を付与されます。

しかし、それはあくまで最初の6ヶ月経過したときに付与される日数です。

今回は入社から6ヶ月経過して以降の年次有給休暇の付与日数についてご紹介します。

付与日数は年々増えていく

年次有給休暇の付与日数は下記の通り6ヶ月経過日以降の2年間は1年継続勤務をする都度1日が加算され、それ以降は1年継続勤務をする都度2日が加算されます。

  1. 勤続期間:  6ヶ月 = 付与日数:10日
  2. 勤続期間:1年6ヶ月 = 付与日数:11日
  3. 勤続期間:2年6ヶ月 = 付与日数:12日
  4. 勤続期間:3年6ヶ月 = 付与日数:14日
  5. 勤続期間:4年6ヶ月 = 付与日数:16日
  6. 勤続期間:5年6ヶ月 = 付与日数:18日
  7. 勤続期間:6年6ヶ月 = 付与日数:20日

以上、見ての通り年次有給休暇の日数は勤続期間に応じて少しずつ増えていきます。

入社6ヶ月経過後以降の算定期間

さて、入社6ヶ月以降の年次有給休暇の付与は1年ごとに行われます。それにともなって、年次有給休暇の発生要件である8割以上の出勤率の算定期間もその1年ごとになります。

例えば、入社から6ヶ月経過したときに年次有給休暇を10日分付与された労働者は、次の1年間継続勤務して8割以上の出勤率をクリアすることで入社から1年6ヶ月後に11日分の年次有給休暇が付与されることになります。

また、別の例として入社6ヶ月経過日から1年間継続勤務していたけれど、8割以上の出勤率をクリアすることができなかった場合には入社から1年6ヶ月後に年次有給休暇が付与されることはありません。しかし、次の1年間継続勤務して8割以上の出勤率をクリアした場合には入社から2年6ヶ月後に12日分の年次有給休暇が付与されます。

よって、仮に年次有給休暇が付与されなかった年があったとしても、勤続期間がのびることによって付与日数は増えていきます。

年次有給休暇の権利の時効

次に年次有給休暇の権利の時効についてです。

年次有給休暇の権利は2年で時効によって消滅します。

よって、年次有給休暇はその年に取得した分で消化していなかった日数については翌年度に繰り越すことができます。しかし、前年度に取得した分についてはその年に消化しきらないと時効によって権利が消滅してしまいます。

つまり、プールできる年次有給休暇は最大でも2年分(40日分)ということになります。1年間に40日も有給休暇が使えたら嬉しいですね。

所定労働時間が短い労働者は?~比例付与~

ここまではフルタイムの労働者に付与される年次有給休暇の日数をご紹介してきましたが、パートタイム労働者のように所定労働時間や所定労働日数が少ない労働者の場合はどうなるのでしょうか?

このような場合は年次有給休暇は所定労働日数に応じて比例付与された日数になります(つまり少ない日数になります)。

比例付与対象の労働者

比例付与の対象となる労働者は、「1週間の所定労働時間が30時間未満」であり、かつ、次の①または②のどちらかに該当する労働者です。

①1週間の所定労働日数が4日以下の労働者。

②週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合は、1年間の所定労働日数が216日以下の労働者。

所定労働日数が途中で変更された場合

所定労働日数が年次有給休暇の算定期間の途中で変更された場合はどうなるのでしょうか?

例えば、1日4時間で1週間の所定労働日数が4日の比例付与対象の労働者が算定期間の途中で1日8時間で1週間の所定労働日数が5日に変更された場合には年次有給休暇の比例付与の対象となるのでしょうか?

答えは、この場合は比例付与の対象にはなりません。なぜなら年次有給休暇の付与日数は年次有給休暇の「権利発生日」の状態によって決定されるからです。

極端なことを言えば、パートタイムの労働者が年次有給休暇の権利発生日の前日からフルタイムの労働者になった場合でも年次有給休暇の付与日数は比例付与の対象とはならず、フルタイムの労働者と同等の日数が付与されるということです。

以上、今回は年次有給休暇の付与日数についてご紹介しました。

次回は「年次有給休暇の時季指定権と時季変更権について」ご紹介します。