特殊な年次有給休暇の付与方法
ここまで4回にわたってご紹介してきた年次有給休暇についてですが、今回が最終回です。
ここまでの記事は↓のリンクをご参照下さい。
さて今回は年次有給休暇の例外的な付与方法として、「計画的付与」と「時間単位の付与」をご紹介します。
年次有給休暇の計画的付与
まずは年次有給休暇の「計画的付与」についてご紹介します。
年次有給休暇の計画的付与とは、使用者は労使協定を締結することによって労働者が保有する年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分について、その労使協定で定めた時季に与えることができます。
つまり、最低5日は労働者が指定した時季に年次有給休暇を与えなければいけませんが、それ以上の日数に関しては労使協定で定めた日に与えることができるわけです。
ただし、この労使協定は計画的付与部分に対する「時季指定権」と「時季変更権」を消滅させる効力があるため、労使協定を締結した後に事情が変わったとしても、その労使協定で定めた時季を変更することはできません。
また、前年度から繰越した年次有給休暇も計画的付与の対象になります。
年次有給休暇の時間単位の付与
次に「時間単位の付与」についてです。
年次有給休暇は1日単位で付与されるのが原則ですが、実は時間単位で付与することもできます。ただし、年次有給休暇を時間単位で付与するには労使協定によって一定の事項を定める必要があります。
労使協定で定める事項
それでは労使協定で定める事項を確認していきましょう。
①時間を単位として年次有給休暇を与えることができる労働者の範囲。
②時間を単位として与えることができる年次有給休暇の日数(5日以内に限る)。
③時間を単位として与えることができる年次有給休暇1日あたりの時間数(1日の所定労働時間数を下回らない時間とする)。
④1時間以外の時間を単位として年次有給休暇を与えることにする場合の時間数(1日の所定労働時間数に満たない時間とする)。
以上、なおこの労使協定は行政官庁に届出る必要はありません。
また、年次有給休暇を時間単位で取得するか否かは労働者の意志に委ねられています。つまり、使用者が労働者に年次有給休暇の時間的付与を強制することはできません。
したがって、時間単位の年次有給休暇は計画的付与の対象にはなりません。
以上で労働基準法における年次有給休暇についてのご紹介を終わります。