労働基準法は古い法律です。古いことを象徴する条文は各所にあります。
労働基準法第1条はその典型例ですが、今回ご紹介する労働基準法第69条も労働基準法制定当時の社会状況を感じることができる条文です。
早速、条文を見てみましょう。
「使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。」
労働基準法第69条1項では、技能の習得を目的であることを理由として労働者を酷使してはいけない旨が規定されています。
こうした規定があるということは労働基準法制定当時にはこのようなことが日常的に行われていたということでしょう。
「使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。」
労働基準法第69条2項では、技能の習得を目的とする労働者を家事等の技能の習得に関係ない作業に従事させてはいけないとされています。
この労働基準法第69条1項と2項を見ていると、労働基準法制定当時は徒弟や見習という技能の習得を目的とした労働者を酷使したり、技能の習得とは関係ない家事などをさせて、こき使っていたことがわかります。
今の時代はこのような労働者を都合よく酷使する使用者はいないと思いますが(いないですよね…)、労働基準法制定当時にはこうした過酷な労働慣行があったということを知っておくのもいいかも知れません。