労働基準法はほぼすべての事業に適用されます。
労働基準法においては「事業=会社」というわけではありません。
労働基準法では同一の場所にあるものは原則として一個の事業として適用されますが、別々の場所にあるものは原則として別の事業として適用されます。
例えば、東京に本社、大阪に支店、千葉に工場がある会社の場合、東京本社と大阪支店と千葉工場は労働基準法上それぞれ別の事業と見なされるわけです。
ただし、これはあくまでも原則です。次に例外となるパターンをご紹介します。
1、同一の場所にあっても「労働の態様」が著しく異なる場合。⇒それぞれ独立の事業となる。
例えば、工場内の社員食堂などは工場とは切り離して独立の事業となる場合があります。
2、別々の場所にあっても小規模で独立性が無い場合。⇒一括して1つの事業となる。
例えば、大阪支店とは別に奈良出張所があるが出張所には営業職と事務職が一人づついるだけで労務管理等は大阪支店で行っている場合は大阪支店と奈良出張所は1つの事業となる場合があります。
労働基準法が適用されない事業もあります。以下、労働基準法の適用が全面的に除外される事業を列挙します。
1、同居の親族のみを使用する事業
2、家事使用人
3、一般職の国家公務員(ただし、独立行政法人国立印刷局や独立行政法人造幣局などの行政執行法人の職員は労働基準法が適用されます。)
4、外交官等の外交特権を有する者
これらは労働基準法の適用が除外されています。
1は同居の親族「のみ」というところが重要です。同居の親族以外の労働者を常時使用する場合は同居の親族も含めて労働基準法が適用されます。
また4はあくまでも「外交特権を有する者」の適用が除外されるということですから、日本国内で外国人が経営する事業や日本国内で就労する外国人労働者には労働基準法が適用されます。
労働基準法の適用が部分的に適用除外される者も列挙しておきます。
1、船員法の適用を受ける船員。
⇒船員であっても「労働条件の原則」「労働条件の決定」「均等待遇」「強制労働の禁止」などは労働基準法が適用されます。
2、地方公務員のうち、一般職の職員。
☆同居の親族:民法725条「同じ世帯で常時生活を共にし、居住と生計を同じくしている6親等以内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族をいう」とされています。血族は自分の親族、姻族は配偶者の親族のことです。