労働基準法第89条では就業規則について規定しています。
就業規則とは労働者が就業上順守すべき規則と労働条件を具体的に定めた規則の総称です。
就業規則で定めた規則がその事業場における労働条件の最低基準となります。ただし、就業規則で定める労働条件は労働基準法で定める基準以上のものでなければいけません。
労働基準法第89条では「10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則を定めなければいけないとされています。
10人未満の労働者を使用する使用者が就業規則を作成したときも、労働基準法第91~93条の規定が適用されます。つまり就業規則としての効力が認められます。
また、就業規則を作成した場合や就業規則を変更した場合には所轄労働基準監督署長に届け出をしなければいけません。
10人以上の労働者の算定をする場合に、派遣元の使用者は派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合算した人数で算定する。
労働基準法第90条では就業規則の作成手続きとして、労働者の代表からの意見聴取が規定されています。こちらは条文を見ていきましょう。
「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」
「使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。」
労働基準法第90条1項では就業規則の作成・変更について過半数労働者の代表から意見を聴くことを義務付けています。
これは「労使対等の原則」に基づく規定です。ただし、意見を聴くことが義務付けられているだけであり、過半数労働者の代表の意見に従うことを義務付けているわけではありません。
労働基準法第90条2項で定められているのは、所轄労働基準監督署長に就業規則の作成・変更の届出をする際に過半数労働者の代表者の意見を記した書面を添付することです。
以上、今回は就業規則について作成が義務付けられている事業場の要件と作成手続きについてご紹介しました。