今回は賃金支払5原則のうち、労働基準法第24条1項に規定される賃金の直接払いの原則について少し詳しくご紹介します。
労働基準法第24条1項では「賃金は直接労働者に支払わなければならない。」とされています。
これは労働者が賃金を確実に受け取れるようにするということと、受け取った賃金の使い道は(たとえその労働者が債務者だったとしても)労働者が決めるということを定めているといえます。
そのため、次のようなパターンは労働基準法第24条違反となります。
1、賃金を労働者の代理人等に支払うこと。
2、労働者が賃金債権を譲渡した場合において、その賃金債権の譲受人に対して賃金を支払うこと。
一方で労働者が病気等で賃金を受けとることができない場合に、家族等の使者(労働者本人に賃金を支払うことと同一の効果を生じる者)に支払うことは労働基準法第24条違反にはなりません。
派遣中の労働者の賃金は派遣元の使用者が支払うことになりますが、その賃金を派遣元の使用者が派遣先の使用者を通じて労働者に支払う場合などうなのでしょうか?
下記の流れで賃金が支払われるパターンです。
派遣元の使用者 ⇒ 派遣先の使用者 ⇒ 労働者
この場合、派遣先の使用者が労働者に対して派遣元の使用者から賃金を手渡すだけであれば労働基準法第24条違反にはなりません。
賃金の直接払いの原則は、「代理人」と「使者」の違いや「支払い」と「手渡す」などのちょっとしたニュアンスの違いによって違反になるかならないかが決まってきます。その辺の線引きを理解することが重要と言えるでしょう。