労働基準法では、業務上の事由によって労働者が負傷、疾病、障害、死亡等の災害を被った場合において、使用者に災害補償を義務付けています。
まずは災害補償の種類を確認してみましょう。
以上が災害補償の種類です。
次に具体的な補償内容を見ていきましょう。
使用者の費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければいけません。具体的には療養補償の範囲は次の通りです。
使用者は労働者が療養のために労働ができずに賃金が受けられない場合には、労働者の療養中の平均賃金の100分の60の金額の休業補償を支払わなくてはいけません。
使用者は業務上の負傷又は疾病によって労働者に障害が残った場合には、その重さに応じて平均賃金の50~1340日分の障害補償を支払わなくてはいけません。
一定の場合には6年間にわたって、毎年、分割して補償することができます。
使用者は労働者が業務上死亡した場合には平均賃金の1000日分の遺族補償を支払わなくてはいけません。
一定の場合には6年間にわたって、毎年、分割して補償することができます。
使用者は労働者が業務上死亡した場合には葬祭を行う者に平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなくてはいけません。
労働基準法第81条では打切補償について規定しています。
打切補償とは、療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合において、使用者は平均賃金の1200日分の打切補償を行うことによって、その後は労働基準法の規定による災害補償を免れる制度です。
さて、ここまで見てきた災害補償は使用者に課せられた義務です。
しかしながら、重大な業務上の災害があった場合や災害が多発した場合には、使用者の費用で上記の災害補償を賄うことは困難になるでしょう。
そうしたリスクに対応するための制度労働者災害補償保険(労災保険)です。
最後に労働基準法第84条1項の条文を見てみましょう。
「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法 (中略)基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。」
このように労働者災害補償保険によって給付が行われた場合には使用者は災害補償の責を免れるのです。
以上、今回は労働基準法における災害補償についてご紹介しました。