労働基準法における妊産婦とは?
今回ご紹介する労働基準法第66条と67条は妊産婦の労働条件に関する条文です。
まず労働基準法における妊産婦の定義を確認しておきましょう。
妊産婦:妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性。
これが労働基準法における妊産婦の定義です。
労働基準法第66条~妊産婦の労働時間等の制限について~
労働基準法第66条では「妊産婦が請求した場合」という条件付きで次のような制限を規定しています。
- 1箇月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用している場合であっても、1週間について1週の法定労働時間、1日について1日の法定労働時間を超えて労働させてはならない。
- 災害等若しくは公務のために臨時の必要がある場合又は三六協定を締結している場合であっても、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
- 深夜業をさせてはならない。
以上のような制限がありますが、1を見ていただくとわかるように制限されるのはフレックスタイム制以外の変形労働時間制です。つまりフレックスタイム制の場合には妊産婦が請求した場合であっても1の制限はありません。
また、法41条該当者については2の制限は適用されず、時間外労働や休日労働をさせることができます。しかし3の制限は適用されるので深夜業をさせることはできません。
当然ですが、特に請求がない場合には妊産婦に時間外労働や休日労働、深夜業をさせることができます。
労働基準法第67条~育児時間について~
労働基準法第67条では、女性労働者の育児時間について規定しています。こちらは条文を見てみましょう。
法67条1項
「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」
法67条2項
「使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。」
労働基準法第67条のポイント次の2つです。
①生後満1年に達しない生児を育てる時間を請求することができるのは女性労働者に限られるということ。
②生後満1年に達しない生児を育てる時間は休憩時間とは違って労働時間の途中にとる必要はないということ。つまり労働時間の最初の30分と最後の30分を生後満1年に達しない生児を育てる時間にあてることもできます。
レアケースとして次の2つも確認しておきましょう。
ケース1:生児についてはその女性労働者が出産した子である必要はない。
ケース2:1日の労働時間が4時間以内である場合は1日に1回の付与で良い。
以上、今回は妊産婦等の労働条件についてご紹介しました。