労働基準法では「満18歳」に満たない者を年少者として特別に保護しています。今回は労働基準法における年少者についてご紹介します。
労働基準法では使用者が働かせることができる最低年齢を規定しています。早速条文を見ていきましょう。
「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。」
15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでというのは、別の言い方をすれば中学校を卒業するまでということです。中学校卒業前の児童を使用してはいけないということは、逆に言えば中学校を卒業した年の4月以降であれば労働者として使用しても良いということです。
以上のように労働基準法では中学校を卒業する前の児童の労働を原則禁止しています。しかしこれには例外があります。これも条文を確認してみましょう。
「前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。」
「別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業」とは、非工業的な事業のことです。
つまり以下のような条件を満たして行政官庁の許可を受ければ満13歳以上で中学校卒業前の児童を労働させることができます。
「非工業的な事業」+「児童の健康及び福祉に有害でない」+「労働が軽易」+「修学時間外」
さらに「映画の製作」と「演劇の事業」については満13歳未満の児童を同様の条件で使用することができるとされています。
この条文があることによって映画等に子役が出演することができるのです。
児童労働に関して「児童の健康及び福祉に有害でない」という条件がありますがそれではここで児童の使用を禁止している業務とはなんでしょうか?
具体的に列記してみましょう。
①公衆の娯楽を目的として曲馬又は軽業を行う業務。
②戸々について、又は道路等の場所において、歌謡、遊芸等の演技を行う業務。
③旅館、料理店、飲食店又は娯楽場における業務。
④エレベーターの運転の業務
こうした業務に児童を使用することはできません。
労働基準法第56条の最低年齢に違反した労働契約のもとで児童を使用した場合でも労働基準法第20条は適用されます。
よって、こうした場合には解雇予告手当を支払ったうえで即時解雇しなければいけません。
以上、今回は労働基準法第56条についてご紹介しました。