労働基準法第107~109条~記録の保存について~

労働基準法第109条~記録の保存~

労働基準法第109条では次のように記録の保存を義務付けています。

法109条

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。」

労働基準法第109条の内容を少しまとめてみます。

3年間保存しなければいけない書類(3年の起算日)

  1. 労働者名簿(労働者の死亡、退職又は解雇の日)
  2. 賃金台帳(最後に記入した日)
  3. 雇入に関する重要な書類(労働者の退職又は死亡した日)
  4. 解雇に関する重要な書類(労働者の退職又は死亡した日)
  5. 災害補償に関する重要な書類(災害補償が終わった日)
  6. 賃金その他労働関係に関する重要な書類(その完結の日)

使用者は以上の書類を3年間保存しなけれはいけません。またこのような労働関係書類を作成・保存することで労使間のトラブルを防ぐことにもつながります。

ここからは、3年間保存しなければいけない書類の中から労働者名簿と賃金台帳について詳しく見ていきましょう。

労働基準法第107条~労働者名簿~

労働基準法第107条では、使用者に対して「各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者ごとに調整し、(中略)その労働者名簿に記入すべき事項に変更があった場合においては、遅滞なく訂正」することを義務付けています。

ただし、日々雇入れられる者に関しては労働者名簿を作成する必要はありません。

労働者名簿に記入する事項

  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入の年月日
  • 退職の年月日とその事由(退職の理由が解雇の場合はその理由を含む)
  • 死亡の年月日とその原因

この中で「従事する業務の種類」については、常時30人未満の労働者を使用する事業は記入しなくてもかまわないことになっています。

労働基準法第108条~賃金台帳~

労働基準法第108条では、使用者に対して「各事業場ごとに賃金台帳を調整し、(中略)賃金支払の都度遅滞なく記入」することを義務付けています。

賃金台帳に記入する事項

  • 賃金計算の基礎となる事項
  • 賃金の額
  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 延長時間数
  • 休日労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
  • 賃金の一部を控除した場合にはその額

次に賃金台帳に記入する必要がない事項を列記します。賃金台帳調整の際に参考にしていただければ嬉しいです。

賃金台帳に記入しなくてもかまわない事項

  • 始業・終業の時刻
  • 休憩時間数

1箇月を超えて引き続き使用される者を除く日々雇入れられる者

  • 賃金計算期間

法41条該当者

  • 労働時間数
  • 延長時間数
  • 休日労働時間数
  • 深夜労働時間数

1箇月を超えて引き続き使用される者を除く日々雇入れられる者と法41条該当者については賃金の計算に必要がないので上記の事項を記入する必要がなくなりました。

以上、今回は労働基準法における記録の保存についてご紹介しました。