企画業務型裁量労働制とは?
企画業務型裁量労働制は「みなし労働時間制」の一種です。
企画業務型裁量労働制を適用するには労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議をして、使用者が当該決議を所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
企画業務型裁量労働制はその対象業務を遂行するための知識・経験等を有する労働者をその対象業務に就かせたときは、その労働者は労使委員会で定める時間労働したものとみなされます。
企画業務型裁量労働制の対象業務
企画業務型裁量労働制の対象業務は、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とされています。
対象業務に関しては「企画・立案・調査・分析」の業務とされているのみで、専門業務型裁量労働制のように具体的な業務内容は決められていません。
強いて言えば、いわゆるホワイトカラーの事務系労働者が対象の制度と言えます。
そのため、企画業務型裁量労働制の適用にあたっては専門業務型裁量労働制よりも厳しいハードルを設けています。
労使委員会の決議事項
企画業務型裁量労働制を適用するためには労使委員会の委員の5分の4以上の多数によって一定の事項を決議した上で、使用者はその決議を所轄労働基準監督署長に届け出なければいけません。
要件 = 労使委員会の決議 + 届出
労使委員会とは?
労使委員会とは次の3つの要件を満たすものです。
- 当該委員会の委員の半数については、管理監督者以外の者の中から、労働者の過半数で組織する労働組合に任期を定めて指名されていること。ただし、労働組合がない場合には労働者の過半数代表者に任期を定めて指名されていること。
- 当該委員会の議事について、議事録が作成されて3年間保存されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知が図られていること。
- 当該委員会の運営について必要な事項に関する規定が定められていること。
また、労使委員会を設置したことについては、所轄労働基準監督署長に届け出る必要はありません。
労使委員会の決議の効果
労使委員会において、下記のことに関してその5分の4以上の多数による決議が行なわれた場合にはこれらに労使協定等と同等の効果を有するものとされます。
- 変形労働時間制について。
- 休憩について。
- 時間外・休日労働について。
- 代替休暇について。
- みなし労働時間制について。
- 年次有給休暇について。
また以上の事項を労使委員会で決議した場合には、労使協定であれば行政官庁に届出を要するものであっても、三六協定に代わる決議を除いて、その決議を行政官庁に届出る必要はありません。
労使委員会で決議する事項
労使委員会で決議するべき事項は以下の7つです。
①対象業務。
②対象労働者の範囲。
③対象労働者の1日当たりの労働時間。
④対象労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者が健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずるべきこと。
⑤対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
⑥使用者は、対象労働者を対象業務に就かせたときは、当該決議で定める時間労働したものとみなすことについての当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
⑦その他厚生労働省令で定める事項。具体的には決議の有効期間の定めや決議を3年間保存することなどです。
ここでのポイントは⑥の「当該労働者の同意」を得る必要があることです。
また、②の対象労働者の範囲ですが、派遣労働者を企画業務型裁量労働制の対象にすることはできません。
所轄労働基準監督署長への報告
さらに、④の措置を下記のように定期的に所轄労働基準監督署長に報告する必要があります。
- 当該決議が行なわれた日から起算して6ヶ月以内に1回。
- その後1年以内ごとに1回(当分の間は6ヶ月以内ごとに1回)。
以上、今回は企画業務型裁量労働制についてご紹介しました。