労働条件の絶対的明示事項及び相対的明示事項についてはこちらを参照。
労働条件の明示方法には「書面の交付」による場合と「口頭」による場合があります。
労働基準法においては昇給に関する事項を除く絶対的明示事項は「書面の交付」により労働条件を明示しなければいけません。
逆に言えば労働基準法上は昇給に関する事項及び相対的明示事項については「口頭」によって労働条件を明示しても問題はないわけです。
しかしながら、労使間のトラブルを防ぐことを考えるとできるだけ「口頭」という曖昧な方法はさけるほうがいいでしょう。労働契約も立派な契約ですのでしっかりとその内容を「書面」に残すことが大切です。
まずは労働者による労働契約の解除権について見てみます。
「前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」
「前項の規定」とは労働基準法第15条1項のことです。労働契約を締結する際に明示された労働条件が実際とは違っていた場合は、労働者は一方的にその労働契約を解除することができます。
次に帰郷旅費について見てみます。
「前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。」
ここでいう「前項の場合」は労働基準法第15条2項のことを指しています。つまり、明示された労働条件が事実と相違していたために労働者が労働契約の解除をした場合ということです。
労働基準法第15条3項の対象となるのはあくまでも「就業のために住居を変更した」場合に限られます。
またこの場合、必要な旅費の負担を受ける範囲は労働者本人に限られず、就業のために住居を変更した家族の旅費も含まれます。