法令等の周知義務
労働基準法第106条1項では、使用者に対して「労働基準法及び労働基準法に基づく命令の要旨、就業規則、労働基準法に基づく労使協定並びに労使委員会の決議」を労働者に周知することを義務付けています。念のため、列記してみます。
労働基準法第106条1項~労働者に周知すること~
- 労働基準法の要旨
- 労働基準法に基づく命令の要旨
- 就業規則
- 労働基準法に基づく労使協定
- 労使委員会の決議
確認事項としては、就業規則・労使協定・労使委員会の決議は要旨のみの周知ではダメで、その全部を周知させる必要があることです。
次に労使協定と労使委員会の決議とは具体的に何のことであるかを見てみましょう。
労使協定・労使委員会の決議の内容
- 労働基準法第18条(強制貯蓄)
- 労働基準法第24条(賃金の支払)
- 労働基準法第32条の2(1箇月単位の変形労働時間制)
- 労働基準法第32条の3(フレックスタイム制)
- 労働基準法第32条の4(1年単位の変形労働時間制)
- 労働基準法第32条の5(1週間単位の非定型的労働時間制)
- 労働基準法第34条(休憩)
- 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)
- 労働基準法第38条の2(事業場外労働のみなし労働時間制)
- 労働基準法第39条(年次有給休暇)
- 労働基準法第38条の4(企画業務型裁量労働制)
次に周知する方法を確認します。
法令等の周知方法
- 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
- 書面を交付すること。
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
寄宿舎についての周知義務
労働基準法第106条2項では、使用者に対して、「労働基準法及び労働基準法に基づいて発する命令のうち寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則」を労働者に周知することを義務付けています。こちらも列記します。
労働基準法第106条2項~寄宿舎について周知すること~
- 労働基準法のうち寄宿舎に関する規定
- 労働基準法に基づいて発する命令のうち寄宿舎に関する規定
- 寄宿舎規則
次に寄宿舎に関することの周知方法を見てみましょう。法令等の周知方法とは少し違うので社会保険労務士試験を受験する方は注意が必要です。
寄宿舎に関する事項の周知方法
- 寄宿舎の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
寄宿舎に関する事項については書面の交付等は認められていません。
以上、今回は法令等の周知義務についてご紹介しました。