労働基準法第12条3項には原則的な平均賃金の計算上、控除する期間が規定されています。まずは条文を見てみましょう。
「前二項に規定する期間中に、次の各号の一に該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前2項の期間及び賃金の総額から控除する。
この労働基準法第12条3項に規定された5つの期間は平均賃金の計算をする際には、その期間中の賃金とその期間中の日数を平均賃金の算定が必要になった日からさかのぼって3ヶ月間の賃金総額及び総日数から控除します。
例えば、平均賃金を算定する必要が生じた日からさかのぼって3ヶ月間の賃金の総額が80万円、その期間の総日数が91日間だった場合にその期間内に「使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間」があり、その「使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間」の賃金総額が20万円、総日数が31日間だったとしたら、平均賃金は次のような計算になります。
(80万円-20万円) ÷ (91日-31日) = 平均賃金は1万円
労働基準法第12条3項に規定している期間は一般的には賃金が低下することが多い期間です。そのため、そうした期間を平均賃金の計算上、控除することで労働者の保護をはかっています。
次は平均賃金の計算上、賃金総額に算入しないものが規定されている労働基準法第12条4項を見てみましょう。
「第1項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。」
この労働基準法第12条4条で規定しているのは、年3回以内の賞与等は平均賃金の計算上、賃金総額には算入しないということです。
平均賃金はあくまでも賞与抜きの1日当たりの賃金だということです。
またここでいう「三箇月を超える期間」とは支払期間ではなく、「計算期間」のことです。
具体的には6か月ごとに支給される通勤定期乗車券などは計算上はその1/6づつが各月分の賃金という扱いになるので「計算期間」は1ヶ月ということになります。つまりこの場合にはたとえ6ヶ月ごとに支給されていたとしても通勤定期乗車券は平均賃金の計算に加えることになります。
「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」は賃金の通貨払いの原則にのっとっていない違法賃金のことです。
具体的には法令若しくは労働協約に別段の定めがないにもかかわらず支払われた現物給与のことです。
労働基準法第12条の平均賃金についての条文はまだ続きます。
この続きはまた次回以降にご紹介します。