今日から何回かに分けて「労働者は奴隷ではない」という題名で労働基準法の条文の紹介をしていきます。
労働基準法第1条を見てもわかるように労働基準法は労働者が奴隷的な扱いを受けないように制定された法律でもあります。
今日からの「労働者は奴隷ではない」シリーズでは労働基準法第16~18条の紹介を通して間接的に労働者の自発的な意思を妨げる条件について見ていきます。
今回はあらかじめ違約金などを定めることによって間接的に、労働者が自発的に労働契約の解除などができないようにすることを禁止する労働基準法第16条を見ていきます。
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」
この労働基準法第16条で禁止されていることは次の2つです。
①労働契約の不履行に対して労働者や労働者の身元保証人が使用者に一定金額の違約金の支払を定めること。
またここでいう「違約金」とは労働契約の不履行があった場合に損害が発生しているかどうかは関係なくあらかじめ定められた金銭のことです。
②労働者が故意又は過失によって会社に損害を与えた場合の損害賠償額をあらかじめ定めておくこと。
⇒②はあくまでも「あらかじめ定めておくこと」を禁止しているだけなので、労働者の故意又は過失によって「現実に生じた損害」に対して損害賠償を請求することは労働基準法第16条違反にはなりません。