昭和14年、我が国最初の公的年金制度が制定されました。船員保険です。
船員保険は当初、ほとんど全ての社会保険部門を有する小型総合社会保険制度として制定され、そのなかには年金制度も含まれていました。
その後、昭和60年に職務外年金部門が厚生年金保険に移行されています。
厚生年金保険は昭和16年に労働者年金保険法の制定によってその制度が始まりました。
当初、労働者年金保険法の適用を受けたのは工場の男性労働者のみでした。
その後、昭和19年に労働者年金保険法は厚生年金保険法に改称されて現在に至っています。
厚生年金保険法に改称される際に、女性及び一般職員も適用されるものとされました。
ここに我が国の被用者年金制度が成立したのです。
ただし、この時点では公的年金の適用を受けられるのは被用者に限られました。
また、昭和22年に労働者災害補償保険の制定に伴って業務上災害の年金支給が分離されました。
日本国憲法には次のような規定があります。
「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
この条文の理念に基づいて、従来は公的年金制度の適用を受けることができなかった農業従事者や自営業者等を対象とした公的年金制度が制定されました。
それが国民年金法です。
国民年金法の制定は昭和34年です。
国民年金法の制定当初は無拠出制の福祉年金の給付が行われていました。無拠出制ということは、保険料の負担をする必要がないということです。財源はすべて税金で賄われました。
保険料の負担がないというのは、現代の感覚ではありえない気がしますがこの時代に年金の給付(特に老齢年金)を受けた人たちは明治・大正・昭和という激動の時代を生きて我が国を守り抜いてきた人たちでした。そうした人たちに少しでも報いてあげたいという気持ちを多くの国民が共有していた時代でした。
その後、昭和36年4月からは保険料の納付に基づいた拠出制の年金制度となり、現在に至ります。
この時をもって我が国の「国民皆年金体制」が確立しました。
昭和61年から被用者及びその配偶者も国民年金制度の対象となりました。
そのため、現在の国民年金制度は全国民を加入対象として、全国民共通の基礎年金を支給する制度になりました。
現在、厚生年金保険の被保険者は同時に国民年金の第2号被保険者となっており、その配偶者は国民年金の第3号被保険者となっています。
平成24年には、厚生年金制度に公務員及び私学教職員も加入することになり、被用者年金の一元化が実現しました。
公的年金制度に適用される者は大雑把に次のように分けることができます。
以上、今回は公的年金制度についてご紹介しました。