健康保険を含む狭義の社会保険は強制適用の要件に該当した場合には原則として適用しなければいけません。
狭義の社会保険の強制適用についてはこちら⇒社会保険の強制適用事業所
しかし、次にあげる者については狭義の社会保険の強制適用事業所に使用される場合でも健康保険を適用する必要がなくなります。これを健保適用除外といいます。
次の者は日雇特例被保険者となる場合を除いて、健康保険の被保険者となることができません。
以上の10パターンに該当する者は、日雇特例被保険者に該当する場合を除いて健康保険の被保険者になることができません。
ここからは、1つずつ見ていきましょう。
船員保険の適用を受けるため健康保険の適用は受けません。
ただし、1ヶ月を超えて引き続き使用された場合には、その超えた日から一般の被保険者になります。
つまり、2に該当する者は使用期間が1ヶ月以下の者ということになります。
ただし、所定の期間を超えて引き続き使用された場合には、その超えた日から一般の被保険者になります。
この場合の「所定の期間」というのは、最初に使用期間といて定めた期間ですので、2ヶ月とは限りません。
例えば、最初に定めた期間が1週間だったとしたら、1週間を超えた日から一般の被保険者となります。
サーカスの巡回興行のように事業所の所在地が一定しない場合には、その事業所に長期間使用されていたとしても被保険者にはなれません。
ただし、当初から継続して4ヶ月を超えて使用される予定である者は、当初から一般の被保険者になります。
この場合は「当初から」というのがポイントです。よって当初は4ヶ月未満の期間を使用される予定であった者がたまたま4ヶ月を超えて使用されたとしても一般の被保険者にはなれません。
ただし、当初から継続して6ヶ月を超えて使用される予定である者は、当初から一般の被保険者となります。
この「当初から」の扱いは上記5の場合と同じです。
国民健康保険のうち、市町村国保ではなく国民健康保険組合に加入している事業所については健康保険の被保険者とはならず、国民健康保険組合に加入し続けることができます。
国民健康保険の保険者についてはこちら⇒健康保険の保険者について
これについては、結構誤解されることが多いようなので詳述します。
この規定は国民健康保険組合の事業所に使用される者については、その国民健康保険組合の事業運営の推進を図る観点から、健康保険法のt形容を除外することとされているものです。
それでは具体的にはどのようなパターンがこの規定に該当するのでしょうか?
以上の場合には、健康保険は国民健康保険組合に加入しつつ、年金は厚生年金保険に加入するということになります。
ただし、これは自由に選択ができるわけではなくて、1と3の場合は事前に国民健康保険組合の組合員になっている必要がありますし、2の場合は1の条件を満たした事業所に入社した場合のみ適用されます。
この規定は、通常ではあり得ないはずの「国民健康保険+厚生年金保険」という組み合わせの適用がありえるということを意味しています。
後期高齢者医療等の適用を受けるため、健康保険の適用はされません。
これはかなりのレアケースだと思います。
国民健康保険制度の育成を図る観点から、国民健康保険の事業運営上必要な人物については国民健康保険の被保険者に移行することが認められています。
詳しくはこちらをご参照下さい。⇒短時間労働者の健康保険適用基準
以上、今回は健康保険の適用除外についてご紹介しました。