健康保険の被保険者であった者が、その資格を喪失するときに保険者に申し出ることによって継続して健康保険の被保険者でいられる制度です。
任意継続被保険者になるためには一定の要件を満たす必要があります。この要件については後述します。
一般的に健康保険の被保険者の資格を喪失する者ということは、健康保険の適用事業所に使用されなくなる者であることが多いでしょう。
そして適用事業所に使用されなくなった者は市町村国保に加入することになります。
しかし、市町村国保の健康保険料は前年の所得をもとに算出されるため、適用事業所に使用されていた時に多額の報酬を受け取っていた人の場合、その健康保険料は高額になってしまうのです。
そこで任意継続被保険者です。任意継続被保険者の健康保険料は資格喪失時の標準報酬月額と前年9月30日におけるその任意継続被保険者が属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(協会けんぽだと28万円位)のうち、いずれか低い方になるため、28万円以上の月給をもらっていた人なら任意継続被保険者になった方が健康保険料を安くおさえることができるのです。
また、一口に健康保険といっても協会けんぽ、組合管掌健康保険、市町村国保では微妙に異なります。
特に組合管掌健康保険の場合には健康保険組合ごとに独自の付加給付のようなものがあったりして給付内容が充実していることがありますので任意継続被保険者になっていざという時にそうした給付を受けられるようにしておくことも一つのメリットだと思います。
さて、前置きが長くなりましたがここから任意継続被保険者になるための要件をご紹介していきます。
任意継続被保険者になるためには、次の5つの要件をすべて満たした者が保険者に申し出る必要があります。
早速見ていきましょう。
ちなみに任意継続被保険者の資格を喪失した者が再び任意継続被保険者になることはできません。
この規定では任意適用事業所の取消しによって資格を喪失した場合には任意継続被保険者にはなれないことを言っています。
あくまでも継続して2ヶ月以上が必要です。通算ではないのでご注意下さい。
一般の被保険者であった者であっても共済組合の組合員であった被保険者が資格を喪失した場合には、共済組合の任意継続組合員制度の適用を受けるため任意継続被保険者にはなれません。
共済組合員の特例についてはこちら⇒健康保険の一般被保険者~代表者・共済組合員~
1の要件にある「適用除外の規定に該当するに至ったため」に一般の被保険者の資格を喪失した場合であっても、後期高齢者医療の被保険者になった場合には任意継続被保険者にはなれません。
原則は20日以内の申し出が必要ですが、天災事変の場合のように正当な理由があると認められる場合には20日を経過してからでも受理することができます。
当たり前ですが、「法律を知らなかった」というのは正当な理由にはなりません。法治国家に生きる以上、できるだけ法律は知っておいた方が良いでしょう。
任意継続被保険者の資格取得の申し出をした者が、初めて納付すべき保険料を納付期限までに納付しなかった場合には、その者ははじめから任意継続被保険者にならなかったものとみなされます。
以上、今回は健康保険の任意継続被保険者について、資格取得要件を中心にご紹介しました。