健康保険法第1条~健康保険の目的条文~

健康保険の目的

今回は健康保険法第1条に規定されている健康保険の目的についてご紹介します。まずは条文を見ていきましょう。ここに記すのは平成25年改正後の条文です。

法1条

「健康保険法は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」

健康保険の目的は国民の生活の安定と福祉の向上

以上の条文から健康保険の目的は次の2つであることがわかります。

健康保険の目的

  • 国民の生活の安定。
  • 国民の福祉の向上。

その目的を達成するために保険給付を行う

そして健康保険法では上記の目的を達成するために下記4つの事由について保険給付を行うとしています。

健康保険の保険給付がされる事由

  • 疾病。
  • 負傷。
  • 死亡。
  • 出産。

健康保険が適用されるのは業務災害以外~平成25年改正~

上記4つの事由で健康保険が適用されるのは「業務災害以外」の事由です。

ここでいう業務災害とは労働者災害補償保険(以下労災保険)の給付対象となるものです。つまり健康保険が適用されるのは、次の2パターンといえます。

健康保険が適用される事由

  • 業務災害以外の事由。
  • 業務上の負傷等であって労災保険の給付対象とならない事由。

平成25年改正で変わったこと

健康保険法は平成25年10月1日から改正されました。

この改正前は、健康保険の給付は「業務外の事由」について行うことになっていたため、業務上の事由の負傷等で労災保険の給付対象とならないものについては健康保険でも給付対象にならないので、医療費が全額自費になっていました。

例えば、シルバー人材センターの仕事中に負傷等をした場合には、健康保険も労災保険も使えない状況だったのです。

このような状況を平成25年の改正によって労災保険の給付対象とならない事由については健康保険を適用することに改正したのです。

健康保険の給付を受けるのは労働者と被扶養者

最後に健康保険の給付を受けることができるのは次の2つです。

  • 労働者。
  • 被扶養者。

健康保険は被用者が対象となるので労働者とその被扶養者が給付を受けることができます。

労働者ではない自営業者等は健康保険ではなく国民健康保険の給付を受けることになります。詳しくはこちらご覧ください⇒健康保険と国民健康保険

以上、今回は健康保険の目的条文をご紹介しました。