健康保険事業に要する費用は、主に健康保険料によって賄われています。
ただし、健康保険料だけですべての費用を賄っているわけではなく、国庫負担や国庫補助も行なわれています。
今回は国庫負担と国庫補助についてご紹介します。
「国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担する」とされています。
この規定は「事務の執行に要する費用(事務費)」は国庫が全額負担するということです。
さて、ここでいう「事務の執行に要する費用(事務費)」とは具体的にどのような費用のことでしょうか?
事務費にしめる費用の中で一番大きなものは、健康保険事業で働いている職員の人件費です。
通常、民間の生命保険などでは保険料にしめる職員の人件費の割合がとても大きいことを考えると、事務費の全額国庫負担は非常に魅力的だと思います。
健康保険組合に対して交付する事務費の国庫負担金は厚生労働大臣が算定して交付することになります。
算定の方法は、各健康保険組合における被保険者数を基準として算定します。
また国庫負担金は概算払いすることができます。
国庫補助は協会管掌健康保険(協会けんぽ)に対して行なわれます。健康保険組合に対して国庫補助が行なわれることはありません。
国庫補助は、主要給付の支給に関する費用と全国健康保険協会が拠出するべき介護納付金の納付に要する費用に対して1,000分の130から1,000分の200までの範囲内において政令で定める割合を乗じて得た額となります。
現在は1,000分の164になっています。
ここでいう主要給付とは、療養の給付などのことで、「出産育児一時金、家族出産育児一時金、埋葬料、埋葬費、家族埋葬料」以外の給付のことです。
国庫は予算の範囲内で、高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定健康診査と特定保険指導の実施に要する費用の一部を負担することができます。
こちらは負担割合などは、特に定められておらず、費用の一部を負担することができるという任意規定となっています。