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健康保険の保険料〜納付義務者と保険料の控除〜

健康保険料の納付義務者は事業主

健康保険法第161条では、事業主はその使用する一般の被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うとされています。

健康保険料は原則として、事業主と一般の被保険者が折半で支払うとされています。(詳しくはこちら⇒健康保険の保険料〜労使間の負担割合〜

しかし、健康保険料の納付に関しては、事業主がその全額を納付する義務を負うことになっています。

そのため、事業主は被保険者に支払う報酬から健康保険料の被保険者負担分を控除することができます。詳しくは下記します。

ただし、仮に事業主が被保険者に支払う報酬から健康保険料の被保険者負担分を控除することができなかったとしても、事業主は被保険者負担分を含めた健康保険料の全額を支払う義務があります。

任意継続被保険者は自分が納付する

一方で任意継続被保険者の場合は健康保険料の全額を自己負担する必要があるため、当然に納付義務者も任意継続被保険者本人となります。

健康保険料の控除

上記のように事業主は健康保険料の納付義務を負うため、健康保険料の被保険者負担分を被保険者の報酬から控除することができます。その要件は次の通りです。

健康保険料控除の要件

  1. 被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合。
  2. 被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料を控除すること。

2は原則として前月分の健康保険料を今月の報酬から控除することができる旨を言っています。

そのため、例えば資格取得手続きが遅れてしまい前月分と前々月分の健康保険料の納付が必要になった場合でも、被保険者の報酬から控除できるのは前月分の健康保険料の被保険者負担分のみです。前々月分については被保険者から直接徴収する必要があります。

2の例外

ただし、例外として被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除することができます。

賞与からも保険料を控除できる

また、事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においても、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができるとされています。

控除したら計算書を作成⇒被保険者に通知

事業主は保険料の控除に関する計算書を作成しなければいけません。

そしてその計算書によって控除額を被保険者に通知しなければいけないことになっています。

大抵の場合には給与明細等にこうした計算書が記載されていると思います。被保険者の立場の人もすべてを事業主任せにしないで自分の健康保険料等の確認をするといいと思います。

いもづる店主

会社員とブログ運営をしています。 趣味:読書、野球観戦、歴史の勉強 資格:日商簿記2級、ファイナンシャルプランニング技能士3級、行政書士試験合格、社会保険労務士試験合格

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