健康保険の一般の被保険者~区別の変更・休職者・再雇用~

被保険者の区別の変更

被保険者について4分の3未満短時間労働者であるか否かの区別に変更があった場合に、事業主は5日以内に届出をしなければいけません。届出先は次の通りです。

  • 協会けんぽの場合    ⇒厚生労働大臣(日本年金機構)
  • 組合管掌健康保険の場合 ⇒健康保険組合

4分の3未満短時間労働者についてはこちら⇒短時間労働者の健康保険適用基準

なぜ4分の3未満短時間労働者の届出が必要なのか?

4分の3未満短時間労働者の被保険者は標準報酬月額の算定方法が異なるためです。

休職者の場合の資格の扱い

休職者については、資格を存続させる場合と資格を喪失させる場合の両方があり得るので見ていきましょう。

休職者で資格を存続させる場合

  • 給与の支給がされている場合。
  • 病気休職等のために一時的に給与の支給が停止されている場合。

休職者で資格を喪失させる場合

  • 給与の支給が全くされておらず、休職とはいっても事実上は使用関係の消滅と見られる場合。

こんな場合は?

  1. 長期間にわたって海外支店に勤務し、国内において勤務していた会社との事実上の使用関係が消滅したと見られる場合にも、被保険者の資格は喪失されます。
  2. 工場の休業中に休業手当等も支給されないなど、事実上の使用関係がないと認められるときは被保険者の資格は喪失されます。

空白期間のない再雇用者の資格の扱い

同一の事業所で雇用契約上、一旦退職した者が1日の空白期間もなく、引き続き再雇用された場合の取り扱いは次の2パターンがあります。

空白期間のない再雇用者(原則)

  • 事実上の使用関係は中断していないため被保険者資格は継続される。

空白期間のない再雇用者(60歳以上の場合)

  • 退職後継続して再雇用される者については、使用関係が一旦中断したものとみなして資格喪失届と資格取得届の提出をしても差し支えない。

60歳以上の再雇用の場合には、再雇用の際に給与等が大幅に減少することもあることから、このような手続きが認められています。

そうすることで本来は健康保険料の計算の基礎となる標準報酬月額の算定に3ヶ月かかるところが、再雇用された月から再雇用後の給与等を反映した標準報酬月額を計算の基礎とした健康保険料になるので再雇用者の健康保険料負担が軽減できます。

登録型派遣労働者の場合

派遣労働者の就業と就業の間の待機期間が1ヶ月を超えないことが確実に見込まれる場合には待機期間中も含めて引き続き被保険者の資格を存続させても差し支えないとされています。

ただし、次回の雇用契約が1ヶ月以上ある場合に限ります。

事業主が変更した場合

事業主が変更した場合であっても次のようなパターンのときには、使用関係が変更したと認められなければ、被保険者の資格は存続されます。

事業主が変更しても被保険者資格を存続するパターン

  • 個人経営の商店の経営者だった父が死亡し、息子がその経営を引き継いだ場合。
  • 個人経営を法人に切り替えた場合。
  • 営業の譲渡や会社の合併があった場合。

以上、今回は健康保険の一般被保険者の資格についてご紹介しました。