縄文時代〜1万年以上の長期にわたる日本の歴史の幕開け〜

縄文時代は長い

縄文時代は長いです。縄文時代は考古学資料の発掘によって、その開始時期と終了時期が決められていますが現時点では今から約16,000年前から約3,000年前までの約13,000年間に渡って続いていたと考えられています。

縄文時代の終了時期から現在までの期間が約3,000年ということを考えると極めて長期間にわたる時代であったと言えます。そのため、縄文時代が日本人の形成に与えた影響は極めて大きいと言えます。どの時代区分を考えるときも縄文時代13,000年の歴史の影響力を意識する必要があると思います。こんなに長い期間をダイジェストと称してたった一章で記してしまうのは心苦しいですが頑張って記していきます。

縄文時代は原始時代ではない

縄文時代を考える上で大切なことは「縄文時代は原始時代ではない」ということです。縄文時代というと、どうしても石の槍を持ってマンモスを追いかけるようなイメージが先行していまいますが、それだけでは縄文時代を理解したことにはなりません。

また、かつては縄文時代は狩猟採集生活を送っていて縄文時代の人々は定住をしていなかったと考えられていましたが、現在は三内丸山遺跡をはじめとした多くの考古学調査の成果によって長期に渡る定住の痕跡も確認されています。三内丸山遺跡は約1,500年以上にわたって繁栄していたことがわかっています。日本で京都に都が置かれてから現在までの期間が約1,200年であることと比較するとその期間の長さが少し実感できるのではないでしょうか。

また、集落のまわりに栗の木を栽培していたり、穀物も発見されています。原始的な農業も行われていたのです。さらに黒曜石が産出された地域から遠く離れた地域で見つかるなど、全国的な交易も行なわれていたようです。

つまり、縄文時代は狩猟採集の移動生活を送っていた原始時代とは明確に異なる時代だったのです。

文字のない時代を考える難しさ

ただし、縄文時代を考える上で注意することがあります。それは縄文時代の日本列島には文字がなかったと言うことです。ここまで記したことも考古学研究の積み重ねによって判明したことなのです。そのため、今後の新たな考古学的発見によってこれまでの定説が覆される可能性は大いにあります。

さらに研究資料が考古学しかないということは当時を生きた人々が考えていたことを直接知ることができないということを意味します。そして、そんな時代が約13,000年も続き、我々日本人の歴史に大きな影響を与えているのです。

文字による史料がないことは歴史を考える上でとても難しいことなのです。